2021年3月11日木曜日

朝日新聞に掲載していただいた記事

朝日新聞2020年12月17日 夕刊2ページ 大阪本社 テーブルトーク   

エチオピアで地下足袋の活用を探る龍谷大学准教授(38)  

 裸足で農作業をするエチオピア人の足を守るため、日本の地下足袋に目を付けた。現地に地下足袋の製法を伝え、エチオピア人が製造・販売する。その流れを調査するアフリカ地域研究者だ。 
 東京出身。京大大学院のとき農業の研究でエチオピアを訪れた。未舗装の道が続くため重機は入れず、牛耕が一般的で、土は粘性が強く長靴は役に立たなかった。帰国して再びエチオピアに渡る際、地下足袋を持参した。すると「その履物をよこせ」「俺も足が痛い」との声が相次いだ。「自分の足元に研究のネタがあることに気づいた」  
 老舗の地下足袋メーカー「丸五」(岡山県倉敷市)の協力を得て現地の職人が牛や羊の革を素材に試作品を重ね、2018年に200足を作成。価格を下げるため布製にしたり、縫い方を工夫するなど試行錯誤が続く。  
 別の研究者が歩行の様子を測定するため地下足袋にセンサーを埋め込むなど共同研究の輪も広がる。「研究者として育ててくれたエチオピアに恩返しがしたい」(河野通高)