2013年10月13日日曜日

京都大学の学際研究着想コンテストで受賞

京都大学の学際研究着想コンテスト『一枚で伝えるイノベーション』

先日、2013年9月30日に京都大学でおこなわれたこのコンテストのファイナリスト10チームによる発表に参加してきました。
私達の研究タイトルは

「アフリカとの知の共有ーJIKA−TABIを通じたあらたな技術文化の創造と革新過程の研究ー」と題して

田中利和(京都大学)、板垣順平(大阪芸術大学)、神谷伸彦のチーム編成で挑みました。エチオピアという共通の土台で結束しているチームです。
結果は入賞同一2位の「優良賞」をいただくことができました。


私達の研究はアフリカの大地に足をつけ、5感をフルに使ったフィールドワークに基づく発想というものを武器としています。地域の深い理解に基づき、地域の人びとが抱える問題に寄り添って、協働による問題解決を目指す実践的地域研究の立場をとります。先端科学の学際チームや先輩研究者が出揃う中で、若手の私達の研究への気持ちと、内容を評価していただけたことは、大きな自信へと繋がりました。

ご声援、ご協力いただいたすべての方々にこの場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。どうもありがとうございました。引き続きこの研究着想を実現できるよう日々精進してまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

以下は配信されたインターネットでのコンテストの記事です。集合写真はここから拝借しております。私達の研究も紹介されています。









研究分野の壁を越え新たな知を生み出せ:「京都大学学際研究着想コンテスト」の挑戦

2013年6月18日火曜日

思い出の種を撒く





思い出の種を撒く

「私が種を撒かなければ、花は開かない」谷川俊太郎作、僕の出身の幸小学校の校歌のはじまりの言葉である。 

幼少のころから深く心に刻まれてきたフレーズである。 


なんでも、よかれと思う種を見つけた時は、急いで撒かずに、まず畑を耕すことが大事であると考えてきた。

牛耕のようにゆっくりと、でも着実にまずは耕す、つまり育つベースを整える。播種床を整えなければ、芽がでることはない。

そしてタイミングをはかって、種を撒く。



それでも、どれだけの芽が出ただろう。僕の撒いた種の発芽率は極めて低い気がする。



先日僕の撒いた種が芽吹いたという知らせがフィールドより届いた。



エチオピアで生活をしているとよく「マスタオシャ」をくれといわれる。

「思い出の品」といった意味であると思う。

何がいいのかと尋ねるとたいてい「君のものなら何でもいい、それで君を思いだせるから」といわれる。



はじめは、なにをあげたらいいのかよくわからず、自分の装飾品であったり、ペンであったり、身の回りの日本から持ち込んだものを、相手の状況を自分なりに考えたうえであげていた。それでも、相手にとって有用であったかのかは、さほど重要ではないのだと考えるようにしていた。あげたものの効用以上に、あげた彼と僕との間に、よい関係が生まれる可能性があればよいと願っていた。その「マスタオシャ」たちは、しばし借金の返済のために売却されていたり、酒代で消えてしまうということを後に知ることになる。
僕がよかれと思ってあげた「マスタオシャ」は「役にたった」のかもしれない。けれども、本来の「マスタオシャ」意味を理解するための道のりは長いと感じた。


種を撒く前に畑を耕すことの重要性を思い出した。



調査を通じて、長年地域に通い続けていると地域住民とのやりとりのなかでさまざまな提案をされる。
「言葉もできるようになって、文化も学んだ、牛耕もできるようになった、次は牛をもたないか?」(僕としてはまだまだなのだが、大げさに褒めてくれる)

男として結婚が認められるには、牛耕ができること、牛を持っていること、家をもっていることなどが基本的な条件としてあげられると思う。自分で牛をもつということで、牛の育て方も主体的に観察できると思った。現地のホストファミリーの協力を得て、自分の牛をもつことにした。家畜市で繁殖可能な雌牛を、皆でよく見極めて、僕がお金を払って購入した。

調査が終わりに近づき日本に帰国する時に、一番お世話になったホストファミリーの母にその雌牛を「マスタオシャ」と言って譲ろうとした。母は「私達の雌牛よ、あなたが留守の間は大切に育てるから、早く帰ってらっしゃい」と言った。


フィールドでも最近フェイスブックがはやっている。

先日ホストファミリーの兄弟から、こんなメールがきた。


Sanii kee jibichadhale,16/9/2oo4 maqaan isaa Bukuura .jedhama.  
直訳 あなたの種(つまり僕の雌牛)が、雄牛を2004年9月16日(エチオピア歴)を産みました。彼の名前はブクーラといいます。


通常牛に対しては体の体色を基準とした雌雄成育段階別の呼び方がある。特別な愛着があるような牛には稀に固有名をつける傾向がある。ブクーラは固有名、愛されているのが伝わってくる。

順調に育てば、ホストファミリーの畑を耕す、立派な牛になってくれるだろう。


撒いた種の芽が珍しくでてきた気がした。大切に上手に育ててくれるだろう。あちらはプロの農民だ。
ちゃんと花が咲いてほしいと思う。

僕が撒いた種はどうなっていくのか、この先もフィールドに通い続けて、観察していきたい。そして「マスタオシャ」の意味についてもさらに考え続けていきたいと思う。


2013年6月16日日曜日

エチオピア農民の足を護る地下足袋ビジネスの構想

エチオピア農民の足を護る地下足袋ビジネスの構想

以下の冊子に収録されております

座談会 アフリカ研究と社会が手をつなぐ 京大アフリカセンターの新たな地Ⅶ      
「実践的アフリカ地域研究からBOPビジネスへ」アフリカ地域研究資料センター、2013、3月

2013年5月5日日曜日

”グローバル人材”を生み出すフィールドワーク

京都大学 アフリカ研究フォーラムin 東京 5回目

本フォーラムでは、日本のアフリカ援助政策、産業発展とCSR(企業の社会的責任)、草の根の国際協力、BOP(Base of Pyramid)ビジネス、NGO活動、在来資源の保全など、京大が得意としてきた「現場の知」が求められる分野に焦点をしぼり、学界に限らず、政・産・官・民とのあらたな連携をはかるべく、関係者を東京オフィスに招いて密度の濃い議論をおこなっています。

第5回  ”グローバル人材”を生み出すフィールドワーク

私も5回目の座談会に参加させていただき、議論したものがブックレットになりました。
リンク先もPDFで公開されていますのでご関心があるかたは下のURLより御覧ください